海外在住の元介護士に聞いてみた!日本と海外の介護体制の違い

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日本で約10年、介護士として有料老人ホームや精神科病棟、ケアハウスなどで働いた後に、現在は海外で生活している乾宏美さん(仮名)のインタビューをご紹介します。

介護の仕事の具体的な内容や、日本と海外の介護体制の違いを語ってもらいました。

介護士インタビュー

この仕事に就いたきっかけを教えてください。

一番のきっかけは祖父が倒れたことです。

病院や施設でお世話になることになり、そこで介護士さんが祖父の世話をしているのを見ました。

祖父、祖母とは産まれた時から一緒に暮らしていてお年寄りは大好きだったのですが、食事介助や入浴介助、トイレ介助だったりどれもとても大変そうでした。

その様子を見て私は一緒にいた父に「私には絶対こんな仕事は出来ないな」と言ったのですが、父は私に「そうか?お前にはお年寄りと関わる仕事は合っているような気がするけどな」と思いもかけないことを言ったのです。

その当時私はフリーターをしていたので、今後の仕事の候補の一つとしてまあ挑戦してみてもいいかなという気持ちでやってみようと思いました。

 

資格をとるのは大変でしたか?

今は無いようですが、私が保持しているのは「ホームヘルパー2級」というものです。
近所の小さなヘルパー専門学校へ通いました。

週数回通い朝から夕方まで学科や実技を勉強し、最後は実際に指定された施設や家に行き指導者の下、そこで実技研修をします。

通い始めてから3ヶ月くらいで資格は取れました。
国家資格ではないのできちんと学校へ通い実技研修も行えば、誰でも簡単に資格は取れます。

期間も短いですし、大変と思うことはありませんでした。

 

日本での仕事内容を具体的に教えてください。

日本では10年弱介護士として働いていました。
特別養護老人ホーム、デイケアセンター、老人病棟、精神科病棟、ケアハウスなど様々な部署を経験しました。

デイケアセンターではまず朝、利用者の自宅へお向かいに行き、センターに到着後はレクリエーション、入浴、食事、お茶などをしながらゆっくりと夕方まで過ごし、また夕方に自宅まで送って行く、といったローテーションです。

季節の節目には様々なイベントもありまた皆で日帰りで遠足に行ったり、毎日会う人も違います。
たくさんのイベントやレクリエーションがあるのでとても刺激的で、私はデイケアセンターが一番のお気に入りの場所でした。

その他の部署は名称は異なっても行っている仕事内容はほぼ一緒です。

生涯滞在や長期滞在の利用者や患者の生活全てのサポートです。

夜勤もあるので24時間のシフト体制で働いていました。

食事、入浴、外出、レクリエーションなど毎日決められた時間に決められたことをこなすローテーションです。

 

介護現場で資格は活かされていましたか?

私は現場では特に資格というものは関係ないと思います。

もちろん持っていないよりも持っていた方がいいでしょうが、「資格を持っている人」よりも「経験がある人」の方が圧倒的に有利で重宝されます。

もちろん資格を取るにあたり介護に必要な最低限の知識は勉強しないといけません。
本当に何も知識のないまっさらな人よりは多少の知識があった方がいいとは思いますが、一番大事なのは経験を積むことだと思います。

 

日本と海外の介護体制の違いは?

一番の大きな違いは海外では「介護する側の者が守られている」ということです。

具体的に言いますと、まず日本のように一人で利用者を持ち上げるようなことは絶対にしません。
基本リフトを使いますし、それも二人体制です。

これは規則で決められているので逆に無理やり一人で抱えようものなら施設からひどく怒られます。
どんなに時間がかかろうと手間がかかろうと一人では絶対に対応しません。

日本の介護体制は、私が経験した10年の間には、リフトを使った施設や病院は一か所もありませんでした。

介護士は常に人数が足らず、いつも時間との戦いで、どんなに体格のいい、重い利用者や患者だろうと一人で対応していました。

助けを呼べるスタッフもいないし呼んでいる間にどんどん時間が過ぎてしまうので待っていられず結局一人で対応しなくてはいけません。
結果私は腰を痛めてしまいました。

「介護士がきちんと守られ安心して働ける体制」というものに大きな違いを感じます。

 

介護業界で働いて良かったと思う事はありますか?

もちろんたくさんあります。

月並みですが利用者やその家族から「ありがとう」と言われた時はとても嬉しいです。

今でも一番思い出に残っている事があります。

デイサービスで働いていた時に毎回私がお迎えに行く利用者がいたのですが、その男性は病気のせいで口数も少なく表情もそんなに豊かではない人でした。
ですが、長いお付き合いだったのでその方が助手席に座っていると私も何だかいつもほっとした気持ちでした。

ご家族(特に娘さん)もとてもいい方で毎回送り迎えの度に明るく、何度も御礼を言ってくださり、私にはちょっと特別なご家族だったのです。
残念ながらその男性は間もなく亡くなってしまい、施設の職員とお通夜にも行きました。

それから数日して娘さんが施設に挨拶に来てくれたのですが、

その時に「お通夜に施設の皆さんが来てくださってのは本当に嬉しかったです。父は毎回デイサービスに行くのをとても楽しみにしていたので」
と声をかけてくださった時は思わず涙が出てしまいました。

あまり表情はわからない方でしたが、「私達のいるデイサービスを本当に楽しんで下さっていたんだな」と、
とても嬉しく思ったことを今でもよく覚えています。

 

逆に困った事や大変な事を教えてください

辛かったのは利用者や患者から暴言を吐かれたり、暴力を振るわれたことです。
介護の仕事を始めたばかりの頃は本当に辛かったです。

しかし全ては彼らの本心ではなく、痴呆や病気がそうさせていること、と分かった時には楽になりました。

そういう状況を受け止め、関わっていくことも重要な介護の一つだと思います。

あとは、体に無理をして働いていたためにひどい腰痛になってしまいました。

こればかりはもう完治は難しいので上手に一生付き合っていかないといけないと思っています。

これから介護の仕事を始める方にも腰には気をつけてほしいです。

 

これからの目標などありましたら教えてください。

当時のことを考えますと嘘みたいな程のんびりとした生活を今はしています。

こちらでもぜひ介護の仕事が出来たらと思っていましたが、この腰痛のおかげで、残念ながらそれは叶いませんでした。

お年寄りと接するのは昔から好きなので、ボランティアでも構わないので話し相手やお茶友達など、何かしらお年寄りと接する生活が出来たらいいなと思っています。

 

 

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